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電気生理学(CMAP、MUNE)

複合筋活動電位(CMAP)は、筋電図法(EMG)のひとつで、対象となる筋から発生する活動電位のピーク値を測定する方法である。 対応する神経を刺激することで、細かく調整された装置が、活動電位と呼ばれる、筋が収縮する際に筋を伝搬する電気信号を測定することができる。 筋肉につながる運動ニューロンを超最大刺激することで、ある筋肉が発生しうる活動電位のピークを評価することができる。 そして、対応する波形をさまざまな特性について分析することができる。 その変化は、運動軸索の喪失、神経に沿った信号伝達の速度低下や非同期性、筋力低下を反映する可能性があり、したがって 筋萎縮性側索硬化症や アルツハイマー病、さらにはポンペ病などの リソソーム貯蔵疾患のような神経変性疾患に直接関連する。

CMAP-ムネ-Fig1

図1:SOD1-G93Aマウスの腓腹筋における複合筋活動電位(CMAP)。 A:腓腹筋のCMAPを記録するための電極の配置例;B:得られた波形;C:SOD1-G93AマウスのCMAP最大振幅。 対応のないt検定。 各群n = 8。 平均値+SEM。 **p<0.01。

CMAPに加え、運動単位数推定法(MUNE)は早期 脱神経の診断に不可欠なツールとなる。 運動単位(MU)とは、運動ニューロンとそれに連結する筋線維の複合体で、各MUは個別の活性化閾値を持っており、それによってきめ細かな筋収縮が可能となる。 運動ニューロンをサブマキシマムレベルで刺激し、パルス間を定常的に増加させることで、個々のMUを活性化し、MU間の平均閾値差を計算することができる。 これにより、対象となる筋のMUの総量を推定することができる。 MUNEは、筋萎縮性側索硬化症や脊髄性筋萎縮症のような神経筋疾患の早期診断に関連する可能性があり、このような疾患では、運動ニューロンの初期喪失が、他の運動ニューロンによる筋線維の再神経支配によってマスクされ、CMAPは変化しないがMUNEが低下することがある。