モリス水迷路(MWM)は、げっ歯類で広く用いられている空間学習・記憶検査である。 海馬依存的な空間ナビゲーションと参照記憶の尺度として有効であることが多くの証拠によって確認されており、APPSL、5xFAD、スコポラミン治療などのアルツハイマー病モデルにおける薬理学的および栄養学的介入の結果を評価するのに適した試験である。 このテストは、仮想迷路でテストしたラット、マウス、ヒトで同様の結果が観察されることから、トランスレーショナルバリューが高い。
試験装置は、水で満たされた開放円形プールで構成され、所定の位置に透明な脱出プラットフォームが設置されている。 プラットフォームは透明で水没しているため、動物はナビゲーションのためにプラットフォームを利用することはできない。 したがって、動物は周囲の空間的な手がかりを使って自分の位置を決定し、プラットフォームに向かってナビゲートして水から脱出する。 私たちの標準プロトコルは5日間にわたって行われ、4回の獲得日とプローブ試行日の2部に分かれている。 まず、最大60秒間の試行を4日間連続して行う。 開始位置は試行ごとに変化し、動物がプラットフォームのある象限から開始することはない。 動物がプラットフォームを見つけると、試行は自動的に中止される。 あるいは、動物が台を見つけられない場合、実験者は動物を台の上に置き、10~15秒間環境を観察させる。
5日目にプラットフォームを取り外し、60秒間プローブテストを行う。 観察されたパラメータを定量化するために、コンピュータ化されたビデオ追跡システムが使用される。
プローブ試行の後にプラットフォームの位置を変え、標準プロトコルを繰り返す「逆転学習パラダイム」をプロトコルに加えることができる。 MWMにおける逆転学習は、動物がプラットフォームの位置を再学習し、新しいゴール位置への新しい直接経路を獲得できるかどうかを明らかにする。
MWMは、アルツハイマー病などの認知ネズミモデルにおける空間記憶のテストに有用である。 反転学習パラダイムは、ハンチントン病や 統合失調症モデルの評価に特に興味深い。
図:APPSLトランスジェニックマウスの空間学習の評価。MWM学習曲線は、6 (A), 9 (B)、12ヶ月 (C)。 6ヵ月齢APPSLn = 19, ntg n = 21; 9ヵ月齢APPSLn = 21, ntg n = 19; 12ヵ月齢APPSLn = 13, ntg n = 22。 二元配置分散分析(Bonferroniのpost hoc検定付き)。 *p<0.05; **p<0.01; ***p<0.001。