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霊長類、マウス、神経可塑性

Graohic illustration depicting signals in neurons

ネズミと霊長類、たとえばチンパンジーを比べて考えてみると、どちらの動物が “賢い “かを判断するのは簡単だ。
何しろ、チンパンジーは豊かなコミュニケーション・スタイルを持ち、厳密に組織化された共同体を持っている。
そう考えると、霊長類の方がマウスよりも洗練されていると考えるのは簡単だ。
しかし、最近の研究によれば
マウスは脳内の神経細胞をつなぐシナプスが多く、神経細胞の可塑性が高いことを示唆している。
このことが神経学研究にとって何を意味するかは、続きを読んでいただきたい。

神経細胞内のシグナルを描いたグラオフィック図解

神経細胞の可塑性:それは何を意味するのか?

国立医学図書館に2017年に出版された一冊によると、神経細胞の可塑性(「神経可塑性」と呼ばれることもある)とは、”経験や傷害に応じて、機能的にも構造的にもそれ自体を修正する神経系の能力 “を指す。この可塑性は、神経細胞の発達と機能の鍵となる。神経細胞の可塑性は、中枢神経系のシナプスによって支配されている。シナプスは、神経細胞間の信号を伝達する各ニューロンの端にある隙間である。
ニューロンあたりのシナプスの数が多ければ多いほど神経機能が高いように思われるが、最近の研究でそうではないことが判明した。

神経細胞の可塑性を探る新たな研究

研究者らは、2021年9月14日付の『Cell Reports』誌に掲載された研究で、神経細胞の可塑性について探求した。 Cell Reports.
研究の中で 霊長類であるマカクとマウスである。
研究の結論は
その結果、霊長類はマウスに比べて、神経細胞1個あたりのシナプス数が著しく少ないことが判明した。
具体的には、マウスのサンプルでは9,700以上のシナプスが確認されたが、マカクのサンプルでは約6,000しか確認されなかった。
霊長類はマウスよりも知能が高いという前提に立てば、これは驚くべきことかもしれない。
結局、研究者たちはこの食い違いを説明することができた。彼らは、シナプスを構築し維持するための「代謝コスト」が、「より疎な神経ネットワーク」を作り出すことを発見したのである。
言い換えれば、マウスはシナプスの数は多いかもしれないが、シナプスを維持するためには神経機能にコストがかかるということである。

意外な結果

この研究を行った研究者たちは、当然のことながらこの結果に驚いている。
「神経科学者や一般の人々の間では、神経細胞の結合が多いほど頭が良いという思い込みがあるからです」と、グレッグ・ウィルデンバーグ研究員はUシカゴ・ニュースに語った。「この研究によって、霊長類の脳はニューロン数が多いため、全体的な結合数は多いが、ニューロン単位で見ると、実際にはシナプスの数が少ないことが明らかになった。

マット・ローゼン研究員もウィルデンバーグの考えに共鳴した。 「霊長類のシナプスの密度は、げっ歯類に見られる密度に近いか、あるいは霊長類の脳はスペースが広く、神経細胞の数も多いので、もっと密度が高いだろうと、私たちはずっと予想していました」とローゼンはUシカゴ・ニュースに語った。
「グレッグの驚くべき発見を踏まえて、私たちは霊長類のニューロンがなぜ予想よりも少ない結合しか作らないのかを考えました。
脳を維持するためのエネルギー的なコストが、この違いを生み出しているのではないかと考えたのです」。

将来への示唆

これらの結果は、単に驚くべきものであるばかりでなく、今後の神経学的研究、特に霊長類とマウスを結びつける際に大きな意味を持つ可能性がある。
「基本的に、神経科学者は皆、何が我々を人間たらしめているのか、つまり、何が我々を他の霊長類やマウスから隔てているのかを理解したいと思っていると思います」とウィルデンバーグ氏はUシカゴ・ニュースに語った。
理想を言えば、この研究は科学者が神経の進化と、さまざまな種類の脳の背後にあるメカニズムをさらに理解するのに役立つだろう。
さらに、このような研究は、いくつかの神経疾患の理解に役立つ可能性がある。

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霊長類とげっ歯類のニューロン可塑性の違いを理解することは、画期的な研究ではないように思えるかもしれない。
しかし、今回のような研究は、脳の進化に関する科学界の理解を深めるものである。
それはひいては、ヒトの神経学の理解に大きな発見をもたらすことになる。

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