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モリス水迷路テストがアルツハイマー病の発見に拍車をかける

Graphic illustration of human brain on dark background

アルツハイマー病協会の報告によると、2050年までに65歳以上のアルツハイマー病患者は1,270万人に達すると予測されている。
患者数が増加の一途をたどる中、効果的な治療法の探求は急務となっている。
しかし、効果的な治療法を開発するためには、医師はアルツハイマー病の原因をさらに理解しなければならない。
最近、研究者たちはこう問いかけた:この壊滅的な病気は、体内で最も細い血管に並んでいる細胞にまでさかのぼることができるのだろうか?
Molecular Therapy誌に発表された新しい研究によれば、その答えはイエスかもしれない。
人気のあるモリス水迷路テストを用いた研究の詳細については、こちらをお読みください。

暗い背景に人間の脳のグラフィックイラスト

モリス水迷路テストとは?

スコットランドのセント・アンドリュース大学のリチャード・モリスによって開発されたモリス水迷路テストは、行動神経科学において最も広く用いられているテストのひとつである。
このテストを行う研究者は、まず動物モデル(通常はラットかマウス)を大きな円形の水プールに入れる。
その後、被験者は隠されたプラットフォームを使って脱出しなければならない。
動物たちは空間記憶能力を使ってプラットフォームの位置を思い出さなければならない。
このテストは空間記憶能力に焦点を当てているため、例えばアルツハイマー病の動物モデルなど、認知機能の効果的な測定法となっている。
このテストは、サウスカロライナ医科大学(MUSC)の研究チームが、ペリサイトと呼ばれる細胞を中心に発表した新しい研究の鍵となった。

失われた周皮細胞はアルツハイマー病の症状にどのように関与するか

周皮細胞は 寄生虫と混同されないように、全身に張り巡らされた細い血管である毛細血管の壁を覆っている特殊な血管細胞である。
脳に存在するペリサイトは多くの機能を果たしている。
まず、脳のエネルギーと老廃物除去の要求を確実に満たす。
また、アルツハイマー病でしばしば見られる脳内タンパク質の蓄積であるアミロイドβの除去にも役立っている。
血管細胞としてのペリサイトは、アルツハイマー病やその他の認知症を理解する上で重要な鍵を握っている。
結局のところ、血管の問題、例えば血管に問題がある人は、認知症を発症するリスクが高いことが証明されている

アルツハイマー病脳におけるペリサイトの評価

現在では、ペリサイトが失われると、その直後に精神機能が低下することがわかっている。
これは、周皮細胞が、脳に栄養を送る血管系から余分な免疫細胞や不純物を取り除く、一種の掃除係のような役割を果たしているためである。
その清掃員がいなければ、不純物が脳に漏れ出し、炎症や細胞死を引き起こす可能性がある。
MUSCの研究チームは、アルツハイマー病で死亡した人々の脳を徹底的に分析した結果、このことが確認された。
MUSCの研究チームは、アルツハイマー病に罹患した脳は、健康な脳に比べてペリサイトが34%少ないことを発見した。
この周皮細胞は、学習と記憶に関連する脳の重要な部分である海馬で特に少なかった。
興味深いことに、アルツハイマー病の脳に残っていたペリサイトは、重要なタンパク質をコードする遺伝子であるFli-1のレベルが驚くほど高かった。
そこで、研究者たちは次のことを知りたいと考えた:手作業でFli-1をブロックすれば、認知機能を改善できるのだろうか?

モリス水迷路試験による動物モデルの評価

Fli-1仮説を評価するために、研究者たちは5xFADマウスアルツハイマー病モデルの脳を評価した。
その脳でも、海馬のペリサイトの減少とFli-1の増加が認められた。
そこで研究者たちは、Fli-1をブロックし、この5xFADマウスモデルへの影響を調べることにした。
興味深いことに、Fli-1をブロックすると、モリス水迷路テストを含む行動テストの成績が改善した。
研究チームはまた、このモデルマウスでFli-1をブロックすることで、ペリサイトの減少を防ぎ、アミロイドβの蓄積を抑えることができることも発見した。

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MUSCの研究チームの発見は、アルツハイマー病の効果的な治療法を探す上で極めて重要なものとなるかもしれない。
「ペリー・ハルシュカ研究員は、「エキサイティングなのは、アルツハイマー病の治療について、これまで考えられなかったような新しい考え方ができるということです。
「この研究は、Fli-1だけでなく、ペリサイトそのものをターゲットとする可能性のある全く新しい分野を切り開くものです。 SCANTOXは、1977年の設立以来、GLP/GCPに準拠し、最高グレードの創薬、規制毒性およびCMC/分析サービスを提供する医薬品開発業務受託機関(CRO)であるScantoxの一員です。
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