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アストロサイトが制御するシナプス活動に光を当てる細胞培養モデル

graphic illustration of synaptic transmission

シナプス伝達は、神経系を活性化させる重要なプロセスである。
シナプス伝達がなければ、細胞はコミュニケーションをとることができず、例えば、熱いストーブから手を離すこともできない。
今回、理化学研究所脳科学総合研究センターの科学者たちは、マウスから採取した細胞培養モデルを用いて、シナプス活動の新展開を発見した。

シナプス伝達の図解

シナプス活動とは何か?

シナプス活動は、神経系のあらゆる活動にとって重要である。
シナプスとは、2つのニューロン間、あるいはニューロンと腺や筋肉細胞間など、細胞間で神経インパルスが伝達される場所のことである。
後者は、反応的な運動など、不可欠な身体機能を調整するメッセージを送る。
しかし、前者は学習や記憶の形成に貢献することがある。
科学者たちは、このニューロン活動の背後にあるプロセスを絶えず研究している。
今回、理研の神経科学者らが、マウスの神経細胞活動が「ダイナミックに調整」される驚くべきメカニズムを発見したと、Medical XPressが報じた
具体的には、あるシナプスが活性化する一方で、他のシナプスが静止するのを目撃したのである。

シナプス活動とアストロサイトの研究

Medical XPressによると、合田由紀子研究員が理研のチームを率いて、学習と記憶形成の背後にある神経プロセス、言い換えれば前述のニューロン間のコミュニケーションを理解するための取り組みを行った。
合田氏は以前から、個々のシナプスの強度を理解するための取り組みを行ってきた。
例えば、2016年の研究では、合田教授のチームはラットの脳の細胞培養を用いて、異なるタイプのニューロン間のシナプス結合を研究した。
この過程で、アストロサイトが重要な役割を果たしていることが判明した。
しかし、アストロサイトとは一体何なのだろうか?

アストロサイトがシナプス結合に与える影響

アストロサイトは脳の重要な機能を支える細胞である。
この細胞はまた、非常に豊富で、ニューロンの数をはるかに上回っている。
2016年の研究で、合田教授の研究チームは、アストロサイトが、活性化したシナプスを強化したり、活性の低いシナプス結合を弱めたりするなど、特定のシナプス活性に関与していることを発見した。
しかし、研究チームはさらに多くのことを知る必要があった。それが、2021年秋に発表された最新の研究の経緯である。
アストロサイトがシナプス結合にどのような影響を与えるかを理解するため、研究チームは神経伝達物質N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)の受容体を探索した。
そのために研究チームは、マウスモデルから採取した細胞培養物、特に記憶が形成される海馬から採取した培養物を使用した。

細胞培養モデルにおけるアストロサイトの操作

シナプス活動に対するアストロサイトの影響を調べるため、合田教授の研究チームは、マウスのアストロサイトのNMDA受容体活性を阻害した。
その結果、シナプスの前シナプス側に明らかな影響が見られた。
まず、アストロサイトのNMDA受容体活性を変化させることで、入力ニューロンの末端が調節されることが確認された。
さらに、アストロサイトの入力ニューロンと受容ニューロンのシナプス活性がより均一になることもわかった。
このことは、NMDA受容体が海馬のアストロサイトにおけるシナプス前強度の広範な分布を確保していることを示唆している。
言い換えれば、このようなシナプス機能の変化によって、シナプス伝達を介した記憶の強化が促進される可能性がある。

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合田教授の研究チームは現在、海馬のアストロサイトにおけるNMDA受容体の活性をより広範に調べながら、今回の発見をさらに理解しようとしている。
さらに研究を進めれば、動物の行動、特に空間学習や文脈学習に関連するシナプス前強度の広範な分布が確保されることの影響について、結論を導き出すことができるだろう。 SCANTOXは、1977年の設立以来、GLP/GCPに準拠し、最高グレードの創薬、規制毒性およびCMC/分析サービスを提供する医薬品開発業務受託機関(CRO)であるScantoxの一員です。
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