FMR1遺伝子(Fragile X mental retardation 1)の変異は、Fragile X症候群(FXS)と呼ばれるX連鎖性遺伝性障害につながり、知的障害の中で最も頻繁に遺伝する形態であり、自閉症スペクトラム障害(ASD)の単発性原因である。
ASD患者は、コミュニケーションや社会性の障害、興味を制限された反復行動、多動性を示す。
エクソン5の200以上のCGGリピートをネオマイシン耐性カセットで置換することによってFMR1遺伝子をサイレンシングすることは、FXSとASDを研究するための貴重なツールとなる。Fmr1-KOマウスは、野生型マウスと比較して、社会的コミュニケーションの欠陥、高レベルの多動性、高レベルの反復行動を示す(2021年10月ニュースレター参照)。
Fmr1-KOマウスのこうした行動特性は、FXSやASDを調査し、新しく開発された化合物の有効性を試験するための貴重なツールとなっている。
Fmr1-KOマウスの脳組織を用いた新たな組織学的評価では、7週齢の雄マウスの尾状被蓋において、C57BL/6J動物に比べて活性化ミクログリアのレベルが増加していることが示された(図1 AおよびC)。
さらに、ミエリンを定量したところ、7週齢の雄性Fmr1-KOマウスの脳梁では、年齢をマッチさせたC57BL/6Jマウスと比較してレベルが増加していた(図1 BおよびD)。
神経炎症マーカーIba1とミエリン塩基性タンパク質(MBP)の代表的な画像を図2に示す。
これらのデータは、活性化ミクログリアのIba1と髄鞘形成レベルで評価される神経炎症が、薬効試験中の疾患の重症度やこれらのパラメーターの変化を解析するための貴重なマーカーになり得ることを示唆している。図1:7週齢のFmr1-KOマウスとB6マウスにおけるIba1とミエリン塩基性タンパク質の定量。尾状被蓋におけるIba1 IR面積と物体密度(Aおよび
C).
脳梁のMBP IR面積と物体密度(Bと
D).
非対t検定。
n=5/群。
平均値±SEM。 *p<0.05, ***p<0.001。図2:7週齢のC57BL/6JマウスとFmr1-KOマウスにおけるIba1(緑)、MBP(赤)、NeuN(青、CCのみ)の代表画像。尾状核(CPu)、脳梁(CC)。Fmr1-KOマウスの研究をご希望の方は、今すぐお問い合わせください!
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