前臨床in vivoモデルの表現型を定期的に再特性化することは、新薬候補の高品質な有効性試験にとって不可欠な前提条件である。これは、遺伝子組換えモデルが、モデルの表現型を変化させる遺伝的ドリフトの影響を受けないことを保証するものである。このような遺伝的ドリフトは、症状の時間的な出現の変化や、最悪の場合には症状の完全な消失を引き起こす可能性がある。このようなシナリオを防ぐために、SCANTOX Neuroは遺伝子組み換えげっ歯類モデルに対して最高の育種基準を適用するだけでなく、研究開発の一環として定期的に再キャラクタライズを行っている。
よく知られたパーキンソン病モデルマウスLine 61マウスの最新の再特性解析により、Line 61マウスの大脳皮質と海馬では、生後2ヶ月の時点でα-シヌクレインとリン酸化α-シヌクレインの安定した高発現が確認された(図1)。同様の結果がLine 61マウスの尾状被蓋でも認められた(データは示さず)。

図1: Line 61マウスにおけるヒトα-シヌクレインおよびリン酸化α-シヌクレインの免疫反応面積の定量化。 ライン61マウスの大脳皮質(A, C)および海馬(B, D)におけるヒトαシヌクレイン(A, B)およびリン酸化αシヌクレイン(C, D)の免疫反応性(IR)面積を、非トランスジェニック(ntg)同腹子と比較した2ヶ月齢および6ヶ月齢の時点。ライン61:n=8、ntg:n=4。平均値±SEM。二元配置分散分析(Bonferroniの
活性化ミクログリアとアストロサイトーシスのマーカーであるIba1とGFAPの定量による炎症過程の追加解析により、ライン61マウスは若年および高齢動物の大脳皮質と海馬で神経炎症を示さないことが検証された(図2)。神経炎症は尾状被蓋にも見られなかったが、以前のデータでは、この脳領域では軽度の神経炎症プロセスが示唆されていたかもしれない(データは示さず)。

図2: Line 61マウスにおけるIba1とGFAPの免疫反応面積の定量。 Line 61マウスの大脳皮質(A, C)および海馬(B,D)におけるIba1(A, B)およびGFAP(C, D)の免疫反応(IR)面積を、非トランスジェニック(ntg)マウス同腹子と比較した。ライン61:n=8、ntg:n=4。平均値±SEM。二元配置分散分析(Bonferroni’spost hoc test)。
生後2ヶ月から6ヶ月のLine 61マウスの運動障害を解析したところ、生後2ヶ月の時点ですでに顕著であった、梁歩行とワイヤーぶら下がりテストにおける非常に早期の運動障害が検証された(図3)。

図3:ライン61マウスの行動障害。 2,3,6ヶ月齢のLine 61マウスの梁歩行試験における滑落回数(A)およびワイヤー掛け試験におけるぶら下がり時間(B)を、年齢をマッチさせた非トランスジェニック(ntg)同腹仔と比較した;平均値±SEM;n=7-15。混合効果分析、Bonferroniのポストホックテスト。
ライン61マウスの再特性解析は、そのPD様の症状や病態を検証するものであるが、それと並行して、以前の特性解析と比較して若干の変化も示している。Line 61マウスの新たな特徴付けの結果は、このモデルが前臨床有効性研究にとって価値があることを証明するものである。
このモデルの病態に関する詳細は、Line 61マウスモデルのパンフレットをご覧ください。
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